”YMOプロパガンダ巡礼”―鶴見線「昭和駅」から根岸競馬場へ
大学時代、YMOにドはまりして(現在進行形)、1983年の散開ライヴを再構築した映画『A Y.M.O. FILM PROPAGANDA』のロケ地である鶴見線「昭和駅」と「根岸競馬場」を”プロパガンダ巡礼”と称して訪れた(2016年11月6日)。
「昭和駅」の前にちょっと寄り道、「国道駅」
せっかく鶴見線に乗るのだったら、廃墟感がすごいと名高い「国道駅」も見ておきたいと思い途中下車。改札へ下りていく階段がすでに雰囲気がある、、、。
ホームを行き来するための歩道橋(?)からの眺め。午前中なのにこの薄暗さ。夜遅くに一人で歩くのは勇気がいりそうだ。
居酒屋「国道下」。直球なネーミングと手書き感がたまらない。常連客に愛されていそうなお店だ。長く営業していて欲しい。
30年前と変わらぬ佇まい、「昭和駅」
「昭和駅」到着。私以外にも数名下車していた。
改札を出て駅舎を仰ぎ見る。30年前、映画の中と同じ光景にただただ感動。踏切脇の自販機の位置も同じままだった、、、!
休日昼前の工業地帯、人通りはほとんどなく心ゆくまで堪能することができた。
電車の本数が少ないので、次の目的地へ向かうべく「浜川崎駅」まで歩いて戻ることに。
あちこちに工場の大きなプラントがあり歩いていて飽きなかったが、あまり体に良くなさそうな独特な匂いがしていた。それにしても、工場というと夜景がメジャー(?)みたいだけれど、私は青空に映える昼間の工場の方が好きだ。
荘厳なる近代産業遺構、根岸競馬場
京浜東北根岸線「根岸駅」から徒歩で根岸競馬場のある根岸森林公園へ。丘の上にあるため、かなりの坂を登っていかなければならなかったけれど、競馬場の一等観覧席が見えてきたところで疲労感は吹き飛んだ。圧巻、、、!
存在感のあるエレベーター塔。顔のようにも見える独特なデザイン。
幕末の頃、横浜の居留外国人向けの娯楽施設として建てられたという根岸競馬場。日本初の西洋式競馬場だそうだ。戦時中は丘の上という立地の良さから旧日本海軍が通信施設として利用、戦後は米軍に接収され、1969年になって日本に返還されたという。
観覧席側は米軍施設が隣接しているため見ることができない。
毛細血管のように建物をツタが覆っていた。入口や窓は全て塞がれている。
すでに二等観覧席とパドックは老朽化で解体されてしまっていて、現存する一等観覧席も立ち入り禁止のフェンスに囲まれているものの、修復などの予定は未定のままらしい。いつ見られなくなるかもわからない。
休日だったため、この巨大な廃墟の傍らで多くの子供たちが走り回って遊んでいた。そんな少し異質な光景を眺めながら、根岸競馬場のシーンを脳内再生しひとり感慨に浸りつつ、ささやかな”巡礼”を終えたのだった。